その昔、「ルールブックをよく見ろ」と抗議した監督に「俺がルールブックだ!」と応酬したプロ野球の審判がいた。
それだけ自分の判定に自信を持っていたということだろう。
自分の仕事に自信と誇りを持って臨んだ(であろう)言動はある意味賞賛されると思う。
ところで…、
現代社会では、「個」の尊重が叫ばれるが故(?)、あまりにも「個人のルール」が蔓延しているように思う。
確かに、自分の身は自分で守らなければならないこの時代、私たちは、無意識に「個人のルール」で自分を守ろうとする。
しかし、「ルール」というものは、本来集団の中でこそ機能(?)するものではないだろうか。
街中では、交通安全や防犯の呼びかけが繰り返し行われている。
「そんなこと分かってるよ」という方も多いが、依然なくならない飲酒運転や事故、犯罪…。
「個人のルール」は必ずしも「社会のルール」とはいえない。
私たちはもう一度考えてみる必要がある。
もちろん、「俺がルールブックだ!」的な心を完全に否定をするわけではない。
いい意味で「俺がルールブックだ!」と言える人も現代社会は必要としているようにも思うから…。
(2006年)