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サン=サーンス『動物の謝肉祭』他:根本英子(ピアノ)他

2021年4月3日 記

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【曲目】
サン=サーンス : 動物の謝肉祭《動物学的大幻想曲》 (ルシアン・ガーバンによる連弾版)
ゲイリー・ショッカー : ラブバード
クリフォード・ベンソン : アラベスク
ロッシーニ : 「泥棒かささぎ」序曲
当摩泰久 : フルートとピアノのための「Green」
團伊玖磨 : 「わがうた」より「ひぐらし」
当摩泰久 : 「さぷりエクササイズ」(黒河好子)より ネコ/ウシ/サカサマカッコウ
クリフォード・ベンソン : 小さなパロディ
メキシコ民謡(尾尻雅弘 編) : ラ・クカラーチャ
山田耕筰(当摩泰久 編) : 「赤とんぼ」

【演奏】
根本英子(ピアノ) / ラファエル・ゲーラ(ピアノ) / 三舩優子(ピアノ) / 当摩泰久(ピアノ)
尾尻雅弘(ギター) / 古川仁美(フルート、ピッコロ) / 岩出敏子(ソプラノ)

「CD作ったから送るね!」と連絡が入ったのは2019年の春先、これまで「伴奏者」として彼女がクレジットされたCDはあったのですが、今回は堂々、自身のアルバムではないですか!!いやぁ、目出度い!!

根本英子(以下「英子」)は大学の同級生。専攻も違えば出身地も全く違います。共通の友人がいたわけでもないので、知り合うきっかけというのはほとんど転がっていなかったのですが、ひょんなことから知り合うことになります。

どこか波長が合ったのでしょう、現在でも付き合いの続く数少ない同級生のひとりです。それこそ、CDのライナー・ノーツ(ここには、これまで知らなかった英子がたくさん顔を出しています。逆に私しか知らない英子の顔もあるのですが…笑)に寄せられている文章にもある通り「唯一無二の存在」と言ってもいいでしょう。
(北九州市内で勤務していた頃、「今(仕事で)熊本にいるけど、これから来ない?」と電話してきて私を困惑させたり(すぐに行ける距離と思っていたようです。まぁ、九州人でない限り仕方のないことですが)、私が仕事で上京した際、行きつけとはいえ九州料理がメインの居酒屋でもてなしてくれたのは、後にも先にも英子だけです…笑)

実は、英子と音楽について深く話した記憶もなければ(と言ったら怒られるか…)、彼女の演奏にいつも接していたわけでもないのです。おそらく学生時代は試験(とは言っても「グループ・コンサート」といって公開されていました)でグラナドスの『ゴイェスカス 〜第1曲』を聴いたくらいですし、10年ほど前宮崎で、このCDにも参加されている古川仁美さんとお弟子さんのコンサートに伴奏者として出演したのを聴いたくらいか…。

おそらく、「音楽どっぷり」の関係ではなかったからこそここまで付き合いが続いているのかもしれない、と思っています。しかし、やはり音楽がなければ続いていなかったでしょう。何度か持ちかけられた無理難題のおかげで、私も随分勉強することができたのは確かですし、違う世界を見せてもらったことも大きな刺激になりました。

英子の強みは、「クラシック」一色に染まっていないことでしょう。実際、ロックも演りますし、篠笛の名取でもあります(が、いずれも直に聴いたことはない…笑)。自身がライナー・ノーツに寄せた「自叙伝」を読むと、「ロックな生き方しているな…」と改めて思う次第。そして、「そりゃ、たくさんの仲間に恵まれるはずだよ」とも。
(そうそう、筆(書道の方です)を持たせると、これまた見事なのですよ。)


自由であり、正直であり、気遣いの人。それが根本英子なのです。この楽しいCDにはそれら(“英子○十年分の人生”と言ってもいいでしょう)が全部詰まっています。
自身のアルバムなのですが、ソロはクリフォード・ベンソン作曲の2曲のみというのもいかにも英子らしい。

身近な者の演奏も少し時間を置けば冷静にレビューできるのではないかと思っていたのですが、ここまで書いてみると、どうも難しいようです。

ですから参考までに…、2019年の『レコード芸術』誌9月号にこのCDは取り上げられ、2名の評者はいずれも「準推薦」盤と評価されています。いやいや、誇らしいです。

きっと、英子がこの一枚で終わることはないでしょう。まだまだ何かをやってくれそうですし、それを期待しています。

Published inrecord review