巷に溢れる音源を聴いて、その通りに再現することが目的となっていると感じる演奏があまりにも多く、残念ながらその様な演奏に高い評価が行きがちなのはどうも…と友人とよくそんな話になります。何事も真似することから始まるのですが、模倣できたから満足、では私は寂しい。
そこに「個性」はないということに等しいと思っています。音楽に大切なのはその人(団体)の独自性を出すことではないかと…。
模倣の先に大切なことがたくさんあるはずなんです。
個人的な思い入れはあるにせよ、今回のみんなの演奏は、模倣を超えたそれこそ「個性」溢れるものでした。
実は、音楽に、楽譜に誠実に向き合えば、個性豊かな演奏になるはずなのです。
そこを勘違いしている指導者って意外に多い…。お手本となるものが溢れているので、いいところを選んで耳に焼けつけて、いつしか他人の解釈が自分の解釈に…(それが全て悪いとは言いませんが)。
ただ、「個性」といって何でもやっていいという訳ではない。やはり基礎は大切だし、型(かた)というのもある。経験を積むことで身に付くものもある。これからも、出来るだけいろいろな素材を提示していきたいと思っています。そこに各々「これは!」というものがあれば活かして欲しいのです。
客席で審査をする立場から話をすると、私の場合、その団体の独自性はどこにあるがまずポイントととなる。同じ様な内容の演奏が連続するとやはりつらい。評価のポイントが、ミスがないか、や音程の正確さなどに絞り込まれてしまい、結果、そうした正確さのみを追った演奏が増えてしたまい、心のない、感情のない音楽がさらに蔓延ることになりはしないか、と危惧。
ミスはない、音程も正確であるに越したことはないのだけれど(もちろん大切!)、やはり「with heart & voice」な音楽でないと…って思いませんか?
(そう思うと、今回は本当にいい選曲!)
(2017年7月29日)