イギリスの作曲家エドワード・エルガー卿(Sir Edward Elgar 1857-1934)の名前は知らなくても、「威風堂々」 (Pomp and Sircumstance) と題された行進曲は耳にしたことがある方も多いはず(この行進曲の第1番はイギリス第2の国歌とも称されるほどの名旋律)。
そのエルガーの作品の中に「謎」 (Enigma) という、管弦楽のための変奏曲がある。
エルガーが自ら創作したテーマと14の変奏から成っているのだが、それぞれの変奏にイニシャルが付されている(これが第1の「謎」)。
今日では、それらが何を表しているのかは解き明かされているが、エルガー自身が、「この曲の真のテーマは姿を見せない」と語っていることから、全体を通した大きなテーマがこの曲にはあるようだ(これが第2の「謎」か…?)。
エルガー本人は生前、これら二つの謎を自ら明かすことは無かったという。
第2の「謎」は依然不明のようだが、「謎」はナゾのままでもいいんじゃないか、という気もする。
確かに人間は、「謎」を解くことによって、進化してきた側面があると思う。
文化、芸術、学問、科学技術などなど…、これらの発達も、いわば「謎解き」にある…。
そう思うのだ。
一応音楽に関わる仕事はしているのだが、「謎」がある方が楽しい!!
すべての「謎」が解明されてしまっては、多分人生も楽しくないような気がしている。
まぁ、生命に関わる「謎」以外は、ほどほどに解明されることを願ってはいるが…。
(2006年)