2019年5月 記
こちらから購入できます {TOWER RECORDS}マーラー: 交響曲第2番「復活」
指揮:ロリン・マゼール
演奏: 読売日本交響楽団 片岡啓子(ソプラノ) 伊原直子(アルト) 武蔵野音楽大学合唱団
遂に出たか!という気持ちでいっぱいです。
1987年5月のライブ録音、二日に亘って開催された読売日本交響楽団創立25周年記念演奏会(&定期演奏会)の2日目の記録です。
マゼールが初めて日本のオーケストラを指揮するということで、当時随分話題になりました。
実は、私は「合唱団」の一員として参加しております。私は大学では「音楽学」を専攻していたのですが、合唱の授業は声楽のクラスと一緒でした(「男声」が少ないため、ピアノ専攻の男子学生などもこのクラスでした)。私は、合唱が「選択授業」だったのですが、前年度の終わりに「マゼールと“復活”!」と聞いていたので迷わず選択したのです(笑)ちなみに合唱団はこの年12月に読響(フリューベック・デ・ブルゴス指揮)でオルフの『カルミナ・ブラーナ』の演奏にも参加しています(全編暗譜だったのは辛かった…笑)。
合唱は第5楽章のみですが、最初からステージに。私はほぼ真正面に位置していました。マゼールの指揮を終始見つめておりました(正面から彼の指揮を見る機会なんてそうそうないですから)。
さて、このCDは一聴すれば分かる通り、本来はCD販売を目的にしていなかった録音です。音質は、マスター・テープの経年劣化のためでしょうか、あまり良いとは言えません。
マイクはおそらく、ステージ前方(指揮者の上?)に一本だけでしょう。しかも、ホール内の残響までは拾いきれていないので、演奏の「キズ」も結構ムキ出しだったりします。が、さすがマゼール、それを補って余りあるほどの「熱量」、ポテンシャルがこの演奏からは感じられます。やはり、マゼールはどのようなオケを指揮してもマゼールでしかないのです。
指揮者近くのマイクのみ、とうことで、「マゼールにはこんな風に聴こえていたのでは?」という気持ちにもなりますし、時々聴こえる息づかいは、マゼール自身のそれではないかとも思え、それだけでも面白い、というか貴重な記録です。
実は、公演初日で合唱は終盤に乱れてしまいました。このCDに記録してある2日目、マゼールは前日乱れた部分の指揮を大きく変えてまで私たちを導いてくれました。
後日、マゼールの通訳をなさった方が、このCDに記録してある2日目の演奏後にマゼールが「今日は本当に合唱が素晴らしかった」と言っていた、と大学宛にお手紙をくださったとのこと。光栄なことです。が、これは「マゼール・マジック」なのですよ(それはすでにリハーサルの時から現れていました。学習院のホールで行われた「オケ合わせ」は、ドイツ語の発音を若干修正した程度で、確か一回通した程度で終わったはずです)。
「マゼールはマゼールでしかない!」そんな記録です。