学生時代、音楽史(中世~バロック)の先生が、ラヴェルが大好きだと仰っていた。「自分は学生の時一番興味のなかった分野を専攻したのだ」、と。
当時は「???」だったけど、この歳になって、なんとなく先生の仰っていた意味が分かるような気がしている。
実は、昔から現在に至るまで、モーツァルトとは相性が良くない(と勝手に思い込んでいる)。
しかし最近は、なぜ相性が良くないのか追求してみよう、などと思ったりするのだ。
何でもそうだが、なぜ嫌いなのか、相性が良くないのかなどを追求することはなかなかないものだ。そんなことするより、興味のあるもの、好きなものを追い求める方がいいに決まっている。
ただ、好きなものばかりに目を向けていると、それを嫌いになることもある、距離を置きたくなることもあるのは確かだ。
好きなもの、相性がいいものと、ずっとそのような関係でいたいからこそ、嫌いなもの、相性が良くないと思っているものと接することが必要なのかもしれない。
そう、嫌いな理由を知ることは、好きな理由を知ることになる、ということだ。
わたくし、モーツァルトと相性が良くないと思っているだけで、決して嫌いと言っているわけではない、念のため。
(2015年)