元国税調査官の方が書かれた本を読んで、「世の中に回っているお金は、元を辿れば全て誰かの借金である。」という記述に出会った。
妙に納得してしまった。
中央銀行がお金を発行→銀行が借りる→銀行は貸し出す→貸し出されたお金が市場に広まる(私たちの経済活動)
借りたものは返さなければならない。
(当然、経済活動により返すことができる人、できない人が出る。)
返すに当たって金利が付く。
しかし市場には中央銀行が発行した分のお金しかない。
どうする…?
つまり、大きな目で見れば、借金を返すためには新たな借金をしなくてはならない(中央銀行が新たにお金を市場に流す)構造になっている、ということだ。
もっと言うなら、「経済成長」「豊かな生活」と叫べば叫ぶほど、そうなればなるほど世の中の借金が増えていく、ということ…。
こうした構造自体にメスを入れない限り、現在の金融不安は解消に向かわないと著者は言う。
少し視点を変えて…
確かに、人が「成長」するということは、誰かからあるいは何かから「借金」していることなのかもしれない。
しかし、人は限りなく永遠に成長することはありえない。
では、借りたものをどうやって返す?
それは、次の世代へ引き継いでいくこと、伝えていくことだろう。
「継承」、「伝承」、「教育」…
それらは、もしかすると「借金の返済」なのかもしれない、私くらいの世代になると。
しかし、ただ引き継げばいいということではない(言うまでもないことだろうが…)。
「金利」を付けて返さねばならない。
次世代へ引き継ぐ役目を負っていればいるほど、世の流れに敏感でなくてはならないし、常に「新しい」ものにも向き合うことだって必要だろう。
そういう意味では、「借金返済のための新たな借金」が必要だ。
ただ、この種の「借金」で苦しむ人はいないだろう、と言いたいところだが、そう上手くはいかないようだ…。
世の中には、「永遠に自分の時代が続くと思っているのではないか」と思わせるような権力者もいる。
「責任、責任」と言いながら、何も結果を示さない者もいる。
「権力」というものだって人様の力をお借りして得ているもののはずだ。 どうか、次の世代のため真面目に「借金返済」してもらいたいものだ。
(2019年10月5日)