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5月に広島交響楽団を聴いた際、会場で購入したCDをようやく、じっくりと聴いてみる。
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指揮者なしのベートーヴェン、いいね。
精神性が強調され、説教臭くなりがちなベートーヴェンに少々辟易している私には、この演奏、とても優しい言葉で語ってくれているように感じる。
ベートーヴェンの『第五』、最初の小節は八分休符から始まる。かつ、その小節自体が「アウフタクト拍」だと理解している。その様に聴かせる演奏にこれまで出会った記憶がほとんどない(聴く側の能力の問題も多分にあったとは思うが…)が、広島交響楽団のこのCDは、思い通りの出だし。「運命」という俗称に変に影響されていないようにも感じる。
そう言えば、そのベートーヴェンの『第五』の冒頭のモティーフ、佐伯茂樹氏の著書によると、「キアオジ」という鳥の鳴き声をヒントに思いついた(弟子のツェルニーの証言)という。自称秘書のシントラーが語った「運命が扉を叩く音」の信憑性はないとも…。
(2017年8月12日)
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