新型コロナウィルスの拡がりがまだまだ続きそうで(クラスター感染の疑いがある病院は我が家の生活圏内にある…)、心穏やかではない日々を過ごしているが、最近自分の身に起こったことから考えさせられることがあったので忘れないうちに書き留めておこうと思う。
それは、「著作権」に関すること。
あることをきっかけに、作品を出版していただいている側との契約内容に疑義が生じたのだ。経緯等を含め先方に質問状を送付したところ、必要な調査をしてくださり、大分まで説明に来られた。全てを納得したわけではないが、先方の考え方を理解することはできた。
原因は2つ。
① 私自身が契約当時、著作権についてあまりに知らなさすぎたこと。
② 先方の説明不足
私は先方が送ってきた契約書を、(もちろん読んだけれども)理解不十分のまま署名捺印し返送している。先方はただ契約書を郵送してくるだけ…。
今回説明を受けて分かったことだが、この契約上の重要点が契約書には書かれておらず、口頭説明(それだって、なされていたという確証はないのだ。一部は記憶していたが)。この件に関する調査を進める際、助言を求めた弁護士にも契約書自体の不備を指摘されたそうだ。
先方は、契約時点での説明不足を謝罪され、今後に活かすことを約束された。
正直言って、新たな疑問も湧いてきたのだが、こちらの疑問にしっかりと向き合っていただき、これまでの経緯を包み隠さず説明していただいたので、今のところ、これ以上の追求(?)はしないつもりでいる。今後改善され、私と同じような疑義を生じる方が出ないことを祈るばかりだ。
教訓など
① 契約する際は、余程の信頼関係が築けていない限り、可能な限り先方と顔を合わせて。
② クリエイティブな仕事をしている以上(そうでなくても、だけれど)、著作権に関する知識は必須。
どちらも当たり前のことなのだけれど。
さて、警察音楽隊勤務時(着任した年)にこんなことがあった。
大分県庁内(大分県警本部は大分県庁内にある)で職員や来訪者を対象とした「昼休みコンサート」を実施した時のこと。
その日の夜、上司(広報課長兼音楽隊長)から電話があった。
「(着任したばかりの)警務部長から「ジブリ系は著作権が厳しいと聞いているが、勝手に演奏していいのか?」と尋ねられた。明日説明するから準備しておくように」という内容。
警務部長というのは地方の警察本部ではNo.2にあたり、国(警察庁)からの出向者。
正直驚いたが、同時に「さすがだ!」とも。目の付け所が違う!
私たちは出版された楽譜を使用しているので、もちろん「問題なし」ということは理解している。が、それがなぜ「問題なし」なのか、まで突き詰めて考えることなんてなかった。
つまり「法的根拠」だ。
改めて「著作権法」を読み直し、根拠となる条文をピックアップし取りまとめる…。
十分に理解していただいた。
自分たちの演奏に「法的根拠」を求められたのは、後にも先にもこの時だけ。
しかし、こうした経験が後々に活かされる、ということが今になってようやく分かった。
人生、何が「きっかけ」なるかは分からない。
「きっかけ」を与えることが(ある意味)最大の教育だと私は思っている。
私、著作権に関して相当な教育をしていただいた(考える「きっかけ」をいただいた)ことだけは確かだ。
(2020年3月23日)