かつて、シュワルツェネッガーが、某製薬会社のCMに登場したときに流れてた音楽、覚えている人がどれくらいいるだろうか?
♪ち~ち~ん ぷいっ ぷいっ♪…ってやってた、アレだ。
かなり私には「笑激」的でだったのを覚えている。
きっと、あのCMの意図するところは、「ちちんぷいぷい!とおまじないのように疲れが和らぐ」といったものだと思うのだが、何せ、使われているいる音楽そのものが、「ちちんぷいぷい」とおまじないにかかって、全く別の姿に変わってしまったのだから。
あの曲がもともと純粋なクラシック音楽の作品であることをご存知の方も多いだろう。
ショスターコーヴィッチが1941年に作曲した『交響曲第7番 レニングラード』、その第1楽章でラヴェルの『ボレロ』よろしく、繰り返し流れるメロディだ。
この『レニングラード』という曲は、作曲年を見ても分かる通り、第二次世界大戦の最中、独ソ戦争の最大のドラマのひとつとなったレニングラード攻防戦が背景となって作られたもの。あのCMのようなコミカルさとは無縁だ。
音楽は、作られた当時の社会状況や環境などを(時には作曲者が意図せずとも)反映するものだと考えるのだが、逆に、音楽そのものは、置かれる状況によっては作者が全く意図しない方向に変化してしまうこともあるのだ。
そういう意味では、「ちちんぷいぷい」と音楽におまじないをかけてしまうマスメディアの力恐るべし、と言うべきか…。
ハンガリーの作曲家バルトークが、晩年の作品『管弦楽のための協奏曲』の第4楽章で、当時話題となっていた『レニングラード』交響曲を嘲笑うかのように件のメロディを引用している。何か予見でもしていたのだろうか…?
(2006年)
スコア ショスタコービッチ 交響曲第7番「レニングラード」ハ長調 作品60 (Zen‐on score) 新品価格 |
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